絶縁油劣化試験
変圧器に使用している絶縁油は、長年使用している間に、(1)水分溶解、(2)酸化現象が起こり、最終的にスラッジが生成し結果として絶縁性能が低下します。絶縁性能が低下すると最悪の場合は事故の発生が懸念されます。絶縁油の劣化判定試験を行うことで劣化程度を把握することができます。
油圧機器の劣化診断概論
絶縁油は、経年・使用状況・環境により劣化して酸価があがり、抵抗率や耐電圧が下がるなど諸性能が低下し、スラッジがたまるようになります。
また、変圧器本体の劣化は、コイル絶縁紙の劣化度合いで余寿命を推定したり、変圧器の異常時に発生する分解ガスを分析して異常の有無を判断するなどの試験方法があります。いずれも、絶縁油の状態をチェックすれば劣化判定ができます。
劣化試験の種類は、以下の(1)~(4)まであり、帝人エコ・サイエンスでは、全ての試験を実施できます。
試験方法
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(1) 絶縁破壊電圧試験とは、試験方法:JIS C 2101による試験で、絶縁破壊電圧を測定します。
(2) 全酸価試験とは、試験方法:JIS C 2101による試験で、試料をトルエン・エタノールの混合溶液を溶かし、アルカリブルー6Bを指示薬として水酸化カリウムの標準エタノール溶液で滴定し、絶縁油1g中に含まれる全酸性成分を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数を求めます。
(3) 絶縁油中ガス分析とは、試験方法:ガスクロマトグラフ分析による試験で、変圧器の内部に局部的な加熱や部分放電が発生すると、絶縁油や絶縁物が分解しガスが発生します。この分解ガスは、絶縁油に溶融するので、油中溶存ガスの種類や濃度の分析を実施し、変圧器の不具合の種類や進捗度の判断が可能です。
(4) 絶縁油中フルフラール分析とは、試験方法:高速液体クロマトグラフ法による試験です。長年の使用により、絶縁油中に絶縁紙を構成しているセルロースが分解してフルフラールが生成します。フルフラールは、絶縁油に極めてよく溶解し、安定した状態で溜まります。そこで、変圧器の寿命を油中におけるフルフラールの量を分析し余寿命を推定する方法です。